気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)、
京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)、及び
科学上及び技術上の助言に関する補助機関第25回会合(SBSTA25)
出席報告

地球環境フロンティア研究センター
特任研究員 近藤洋輝

1.はじめに

気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)・京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)及び、気候変動枠組み条約(UNFCCC)の補助機関第25回会合(SB25)は、平成18年(2006年)11月6〜17日の日程で、ケニアのナイロビで開催された。我が国からは、若林正俊環境大臣、西村六善気候変動担当政府代表、小島敏郎環境省地球環境審議官、本部和彦経済産業省審議官、谷津龍太郎環境省審議官他が出席した。

文部科学省からは、SB25のうち、科学上及び技術上の助言に関する補助機関第25回会合(SBSTA25)における「研究及び組織的観測」などの議題を担当するため、文部科学省参与として参加した小職及び、栗山地球・環境科学技術推進室行政調査員が、SBSTA25及び関連する全体的会合であるCOP12及びCOP/MOP2に関し、11月6〜14日及び15日午前の各会議に参加した。以下、全体の概要(公電に依拠)と担当議題の審議に関して報告する。

2.全体の概要と評価

締約国会合(COP)としては、サハラ以南アフリカで初の開催となった、今次COP12・COP/MOP2では、昨年のカナダ(モントリオール)でのCOP11・COP/MOP1での決定に基づき開始された、京都議定書の第一約束期間後(2013年以降)の将来枠組に関する議論が行われるとともに、気候変動への適応や技術移転等の途上国支援、更にはクリーン開発メカニズム(CDM)のあり方や、後発途上国、特にアフリカにおけるCDMプロジェクトの促進等につき活発な議論が行われ、一定の成果を得ることができた。特に、今回初めて議論された京都議定書第9条に基づく同議定書の見直しについては、その成果が各方面より注目されていたが、我が国が目指した同見直しのプロセス化について、第2回目の見直しを2008年のCOP/MOP4にて行い、それに向けた作業スケジュールが合意されたことで、我が国の基本方針である実効ある将来枠組の構築に向けた議論の具体的な道筋をつけるものとなった。

若林環境大臣は、閣僚級会合に出席し、(1)我が国が、昨年策定された「京都議定書目標達成計画」の着実な実施を通じて、マイナス6%の温室効果ガス削減約束を確実に達成する決意を表明するとともに、(2)深刻な地球温暖化の現状を踏まえ、全ての国がその能力に応じ排出削減に取り組むことを可能とし、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある将来枠組構築の必要性や効果的な地球温暖化対策の観点から、G8対話等の条約交渉以外の気候変動関連プロセスとの連携の重要性を訴え、(3)開発途上国、特にアフリカや小島嶼国において喫緊の課題となっている気候変動への適応対策の必要性の主張と我が国の貢献を説明した。また、米国、英国、ドイツ、中国をはじめ7ケ国ケ国との間で二国間会談を実施し、上記我が国の基本的立場を説明するとともに各々の国との協力につき意見交換した。

次回COP13・COP/MOP3(2007年12月)については、インドネシアより開催の申し出があった。

3.「研究と組織的観測」以外の主な審議内容

3-1.京都議定書後(2013年以降)の将来枠組

(1)京都議定書第9条に基づく議定書の見直し

今回の会議では、1回目の見直しの位置付けと範囲、第2回目以降の見直しをいつどのように行うか等を中心に議論され、結論として、第2回目の見直しを2008年のCOP/MOP4で実施することを決定し、第2回目の見直しに向けた作業スケジュールとして、2007年のCOP/MOP3において、第2回目の見直しの範囲と内容につき検討することが合意されるとともに、今後の見直しに基づいて適切な行動(appropriate action)を取ることが決定された。

(2)先進国(附属書㈵国)の更なる約束に関する第2回アドホック・ワーキング・グループ(AWG2)

今次会合では、まずワークショップを開催して我が国やIPCC等6ケ国・国際機関が濃度の安定化についての科学的基礎と削減ポテンシャルについて発表を行い、参加国が意見交換した。その後交渉を行い、1.附属書㈵国の温室効果ガス削減ポテンシャルと同削減幅の分析、2.排出削減実現のための手段の分析、3.附属書㈵国の更なる排出削減約束の検討、を内容とする作業計画を決定した。

また、2007年にはこのうち1.に焦点を当てることとし、5月に第3回目、9月乃至は10月に行われる「長期的な協力に関する対話」第3回会合時、及び12月に実施予定のCOP/MOP3時に第4回目を行うことを決定するとともに、京都議定書の第1約束期間(2008-2012)と第2約束期間との間に空白が生じることのないよう、AWGの作業を終了させることで合意した。

なお、決定には、市場メカニズム、京都メカニズムの活用を含む国内的・国際的努力を通じて、附属書㈵国が2013年以降も全体として排出量の削減を維持するための行動に率先して取り組んでいるとの明確なメッセージを発するべきであること、またそれが国際炭素市場の継続についてのシグナルともなることが謳われたが、我が国は、京都メカニズムが2013年以降継続すると決める前に見直しを行うべきであるという点、及び国際炭素市場の継続についても、市場の継続性にリスクがあることは当初よりわかっていたことであり、産業界も応分のリスク負担をすべきであることから、何らの決定もする前にその継続性を保証するべきでないという点で反対意見を表明した。

(3)「気候変動に対応するための長期的協力に関する対話」第2回会合

京都議定書未締約国の米国や削減義務のない途上国も含めた全ての国が参加して開かれた今次会合では、ニコラス・スターン英政府経済顧問による気候変動の経済的側面に焦点を当てた報告(所謂スターン・レビュー)や各国・国際機関・シンクタンクのプレゼンテーションが行われ、それに基づき、本対話の主要4テーマ(1.持続可能な開発、2.適応、3.技術、4.市場の役割)のうち、持続可能な開発と市場の役割について、非公式かつ率直な意見交換が実施された(次回会合については、2007年5月に適応及び技術に焦点を当てて意見交換を実施予定)。

3-2.途上国支援(適応と技術移転)

(1)適 応

2005年のCOP11(モントリオール)において合意された気候変動の影響やそれに対する脆弱性及び適応に関する5ケ年作業計画の前半期(2007年まで)の具体的な活動内容について合意され、今後、各国・関係機関からの情報を集め、適応対策の策定に資する知見を集積すること、同計画を「ナイロビ作業計画」とすることに合意した。

 また、途上国における適応対策のために、2001年のCOP7で決定されたCDMクレジットの2%を原資とする「適応基金」について、管理原則、運営形態、運営組織の構成につき決議され、これを基に、次回COP/MOP3において、同基金を付託する機関の決定を目指すこととなった。

(2)技術移転

COP7決定に基づき設置された技術移転に関する専門家グループ(EGTT)は、今次会合においてその5年間の実績の見直しと継続について議論が行われることになっていた。グループのこれまでの活動内容を評価し、今後はこれを拡充しつつ、諮問的役割を果たし続けるべき、と主張を行った先進国側に対し、途上国側は、1.同グループを改組・格上げし、独自の予算執行権限を持ち、先進国から途上国への技術移転を監視・管理できる権限を持った理事会(TDTB)の新設、2.知的所有権を買い取り、途上国に無償で技術を供与するための多国間技術取得基金(MTAF)の設置、3.技術移転の進捗状況を客観的に評価する指標(performance indicator)の作成、という提案を行い、意見が対立した。

結果として、時間的制約もあり、上記論点を今次会合では解決できないとの意見で一致し、1.EGTTのマンデートをもう1年延長させること、2.来年5月の次回補助機関会合(SB)において同グループの評価・見直しについて継続議論すること、の2点について合意した。

3-3.京都メカニズム(クリーン開発メカニズム等)

今次会合における重要な論点の一つである二酸化炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトの扱いについて、COP/MOPガイダンスに基づき実施可能であることや、2008年のCOP/MOP4でのガイダンス採択に向けたプロセスについて決定した。また、簡素な手続きが適用される小規模CDMプロジェクトの範囲が変更され、省エネの小規模プロジェクトの範囲が大幅に拡大(従来の4倍)されたほか、アフリカなどを対象としてCDMプロジェクトの地域バランス改善のための措置など、CDMの更なる改善のための決定がなされた。

植林CDMに関しては、土地適格性ガイダンスについて、各国からの意見聴取を踏まえCDM理事会が再度ガイダンスを策定すること、小規模植林CDMの上限値については、各国等からの提出意見に基づき来年5月の次回補助機関会合(SBSTA26)で検討することが合意された。

 

また、黒木昭弘氏((財)日本エネルギー経済研究所研究理事)がCDM理事会の委員として選出された。

 

なお、15日、今次閣僚級会合に出席したアナン国連事務総長はその挨拶において、途上国、特にアフリカ諸国のCDM事業参加促進を目的として、国連関係6機関が主導するイニシアティブ「ナイロビ・フレームワーク」の立ち上げを発表した。

4.SBSTA議題6「研究及び組織的観測」の審議

4-1 概要

気候変動観測の今後の進め方について議論がなされ、全球気候変動観測システムについての条約への報告に関するガイドラインの改定案をCOP13における採択のためにSBSTA27において審議すること、地域ワークショップの成果である地域アクション・プラン(特にアフリカ)の実施を促進すること、衛星観測については地球観測衛星委員会(CEOS)を通じた宇宙機関間の調整された対応の継続を奨励していくことに合意し、気候変動モニタリング及び予測モデル改善等のために更なる観測の統合と調整が重要であること、及び全球気候観測システム(GCOS)と全球地球観測システム(GEOSS)に関連する国内活動を推進することを確認した。

4-2.SBSTA全体会合(11月7日)での審議

冒頭事務局より、今次会合に提出された3つの文書(GCOS事務局による全球気候変動観測システムについてのUNFCCCへの報告に関するガイドライン改定案FCCC/SBSTA/2006/Misc.12、GCOS地域ワークショップ成果報告書FCCC/SBSTA/2006.Misc.13、GOCS実施計画のニーズに対する宇宙機関間の調整された対応に関するCEOS報告書FCCC/SBSTA/2006.Misc.14)について説明があり、SBSTA24におけるSBI結論(研究と組織的観測を分けて交互に議論)に基づき、今次会合は組織的観測の議題に焦点を当てることが説明された。続いて、GCOS事務局から最近のGCOSの活動報告(衛星観測に対する気候分野の要求事項のとりまとめ、報告ガイドラインの改訂案の作成、地域ワークショップの報告等)について、また、CEOSを代表して米国からCEOS報告書の内容の紹介がそれぞれ実施された。

続く各国からの発言においては、GCOS事務局及びCEOSから提出された文書の内容を評価することを中心に見解が述べられた。主要なものは以下のとおり。

我が国:GCOS事務局、CEOSからの報告書等の提出を歓迎。GCOS実施計画の更なる促進のために、観測の長期継続と共に、関連の観測活動を効率的・効果的に実施するための観測の統合化と、先端的研究開発を通じた観測の高度化及び成果のグローバルな共有が重要。このため、我が国は、GEOSSの推進、地球温暖化連携拠点の設置、温室効果ガス観測衛星(GOSAT)・全球気候変動ミッション(GCOM)等の衛星開発、地球観測システム構築推進プラン等の施策を実施している。また、CEOSの報告書については宇宙機関による着実な実施が重要。我が国は、これらの取組を通じて、議定書の第2約束期間の排出目標の設定と政府・市民の気候変動への対応策に必要な研究と組織的観測に貢献していきたい。

フィンランド(EU):CEOS報告書はGCOS実施計画の補足であり、両者の実施の進捗に期待。締約国に対し、各自の宇宙機関による実施促進を奨励。報告ガイドラインの改善を歓迎。改定案はCOP採択が必要であり、議論をすぐに開始すべき。EUは自発的に本改訂案をGCOSへの報告に適用する予定。EUはGCOS実施計画をGEOSSへの貢献の一部ととらえる。GCOS、GEOSSについて、EUは環境と安全のための全球モニタリングプログラム(GMES)を通じて貢献していく。

オーストラリア: CEOS報告書を支持。各国の宇宙機関が能力の範囲で活動を実施していくことが重要。改訂ガイドライン案を評価。地域ワークショップの成果にも満足。地域アクション・プランを促進するためのメカニズムが必要であり、GCOS協力メカニズムの活用や各国気象機関による戦略的な支援が必要。

スイス:CEOS報告書を評価。衛星観測からのグローバルなデータは、現場観測の補足データとして重要。衛星観測ミッションの継続・連続が重要。改訂ガイドライン案を支持。

米国:米国はGCOS実施計画の実施、GCOSの活動の支援を継続していく。GCOSと地球観測に関する政府間会合(GEO)2007-2009年作業計画の気候分野の連携を支持。GCOS事務局による報告書、改訂ガイドライン案の提出に感謝。改定案は一般的に受入れ可能。地域アクション・プランに対する議論を期待。またCEOS報告書を評価。宇宙機関の協力による実施が必要。米国はロバストな衛星観測システムの構築に貢献していく。

タンザニア:気候データは不可欠。途上国における観測システムの向上が必要。アフリカにおける地域ワークショップのアクション・プランの推進が必要。

コスタリカ:途上国では観測の劣化(精度の低下及び観測点の減少)が深刻。衛星観測はこの問題の解決策にはならない。途上国ニーズの反映が不十分である。資金的措置の検討が必要。

上記の意見表明を踏まえ、ロズナー(ドイツ)及びアパドゥ(モーリシャス)を共同議長とする非公式協議において、SBSTA結論案の検討が行われることとなった。

4-3. 非公式協議における議論

(1)第1回(11月7日、15:00〜)

ドイツ共同議長より、今次会合の進め方として、非公式協議をほぼ毎日開催し、11日を目標に結論案をまとめる旨の説明があり、続いて提出された3つの文書に対して意見表明が求められた。

[1]報告ガイドラインの改訂について

2008年にGCOS実施計画の国内的な実施に関する各国よりの追加的な情報の提出、及びこの情報を含めたGCOS実施計画の実施に関する統合報告書の作成が求められていること、また報告ガイドラインの改訂は国別報告書と一致させることがCOP決議(5/CP5)により要求されていることから、ガイドラインの改訂の手続及びタイミングについて質疑応答、意見交換があった。

各国よりの質疑に応じて、事務局より、改訂ガイドラインの採択はCOP決議によること、採択までは自発的な適用にとどまり義務は生じないこと、採択のタイミングとしてはCOP13(2007年12月)又は14(2008年末)が考えられるが、本ガイドラインのレビュー・プロセス(各国の公式見解の提出を要求するかどうか)によること、SBSTA26(2007年5月)にGTOSから地上観測に関する報告書の提出が予定されており、報告内容によっては本ガイドラインに影響があることも考えられるのでGTOSの報告書提出を待つ方が適当であることが説明された。

これに対し、米国からは本ガイドラインは専門家のレビューを受けた技術的文書であり、また、提出以降政府のレビュー期間が2ヶ月程度あったことから、これ以上の公式見解の提出は不要であり、ガイドラインの適用を遅らせるよりも、2008年のGCOSによる統合報告書の作成にあたり、各国がガイドラインに沿った情報提供を行う方がより適当であるとの意見が表明され、EUから基本的な点で支持があった。結果、条約事務局が、技術的文書として扱う場合と公式見解を提出させる場合の2つのオプションについて、COPの手続等も検討して整理することとなった。

[2]GCOS地域ワークショップについて

計画された10のGCOS地域ワークショップが完了したことを受けて、地域におけるアクション・プランを含む成果報告書がGCOS事務局より提出されており、今後の対応が議論された。本成果報告書の内容の支持と地域アクション・プランの実施促進を結論案に含めることについては、各国から概ね共通の発言があった。ベリーズ、中国から地域アクション・プランの実施を支援するためにGEFの活用の可能性が提案されたが、米国、オーストラリアからCOP9のSBIの結論と重複することが指摘された。その他、カナダからワークショップの成果を受けて、フォローアップの活動を加えるべきこと、米国からアジス・アベバのワークショップの結果を受けて、観測と適応策の関係づけを入れてはどうかという提案があった。

[3]CEOS報告書について

ベリーズからCEOS報告書の提出を感謝するものの、衛星だけでなく、in-situ(現場)観測の重要性、途上国における観測能力の悪化の問題、観測データのアクセス向上の必要性が指摘された。EUからは宇宙機関のGCOS実施計画の実施に関する条約への報告について、CEOSはGCOSと別途に報告を行うべきかどうかについて質疑があり、GCOS事務局から宇宙部分もGCOSの一部であるためGCOS事務局からまとめて報告する方が望ましい旨発言された。

以上の意見交換の後、事務局が事前に用意した結論案が配布された。本案の内容は、3つの文書の提出を評価し、既に計画された関連の報告プロセスを記述するに留まる内容であったため、我が方からは、本内容はGCOS実施計画を推進するための今後のアクションとして不十分であり、我が国としてはステートメントで述べた観測の統合化と観測能力の強化が重要であると考えること、また、結論案には組織的観測を更に促進するための積極的なメッセージを含めるべきであることを発言したが、各国からその場では特段の反応はなかった。その他、加から全体として成果を強調する書きぶりにすることが提案された。

(2)第2回(11月8日、11:00〜)

第1回協議を受けて事務局から改定案が提出され、これをたたき台にモーリシャス共同議長の議事進行で議論が行われた。冒頭、我が方から本内容ではSBSTA結論として未だ不十分であり、パラグラフの追加提案があることを表明した。

続いて、パラグラフ毎に議論が行われた:

パラ1(GCOSによるガイドライン改定案の提出)については、小島嶼国連合(AOSIS)から、to reflect priorities and to incorporate reporting on the essential climate variables の挿入が提案された。

パラ2(ガイドラインの改訂プロセス)については、各国からの公式見解の提出とその審議を経てCOP14で採択する案(オプション1)と、公式見解の提出を求めずCOP13で採択する案(オプション2)が提示されたが、各国からプロセスを早期に進めることが支持され、オプション2が採用された。加から公式見解の提出を要求しないものの、各国によるコメント提出の余地は残しておくべきとの見解が示された。また、GTOS報告書がガイドラインの内容に影響を与える可能性もあることから、SBSTAの合意の範囲は、COPにおける採択の勧告(recommend)から、SBSTA27におけるガイドライン改訂案の検討(consider)に改訂された。オーストラリアからは、the extended period of review open to scientific and government expertsの挿入が提案された。

パラ3(SBSTA24に基づく2008年のGCOS実施計画の実施に関する包括的報告書の作成)については、ガンビア(途上国< G77 >代表)や露から報告書のための情報提供や記述内容について文言の追加が提案された。これに対し、本パラはSBSTA24の結論を想起する(recall)ものであるから、結論の文言のとおりとすべきという見解が事務局や米等から示された。更に、露の提案は情報提供について気象機関だけを特別扱いしているという問題も指摘された。これらの追加文言の取扱について議論されたものの、結論をみずにいずれもブラケット付きとなった。

パラ4(地域ワークショップ)については、オーストラリアから各国の気象機関との協力の強調を追加することが提案されたが、パラ3のロシアからの提案と同様の疑問が提示された。

他のパラの議論は、今次議題に関連のあるGCOSのサイドイベントが開催される時間となったことから途中で打ち切られ、次回協議に持ち越されることとなった。

(3)第3回(11月9日、16:00〜)

ドイツ共同議長の下、第2回協議を受けて、日本からの追加パラの提案を含む、ブラケット付きのクリーンテキストが新たに事務局から提示され、これを元に議論が行われた。

パラ3(GCOS実施計画の実施に関する包括的報告書の作成)については、ロシア提案の「各国気象機関からの追加的情報の提供」がブラケット付きであったが、ロシアからの新たな提案により、気象機関に限定せずnational agencies responsible for observation networkに落ち着いた。

パラ4(地域アクション・プラン)については、オーストラリアから追加提案のあったimportance of in-situ observation networks and activities that deliver sustained observation infrastructureは、地域アクション・プランに限定されず、一般的内容であることから、共同議長から別のパラに分離することが提案された。

旧パラ5(アフリカでの実施戦略会合の成果(Climate for development in Africa programme)の実施促進)については、類似の活動の他地域への展開に研究も含めることについてOASISから強い希望があり、受け入れられた

旧パラ6(衛星観測)については、米国からの提案に基づき、SBSTAが締約国にCEOS報告書の活動の実施を奨励すること、及びGCOSとCEOSのパートナーシップを促進することが追加された。また、衛星観測に関する条約への報告項目について議論があり、国内と国際的観測計画が分けて記述されることとなった他、特に途上国からの要請に基づき、GCOS事務局のガイドライン案の対象外であるものの、観測データへのアクセスの状況が追加された。情報量が多くなったこともあり、これらの報告項目の要求については別のパラとして分離されることとなった。AOSISや途上国(G77)等は、関心のある全ての締約国による宇宙観測に対するアクセスの提供について記述することを要求したが、報告項目の議論と渾然一体となり、決着を見ないまま次回に持ち越された。

我が方の提案に基づく追加パラ(観測の統合の重要性)については、概ね各国より了解を得られたものの、カナダからintegrationではなく、むしろ調整(coordination)が適切との提案があり、両方が併記されることとなった。気候モデルとの関係については、EUの提案に基づき、検証だけでなくインプットの提供という観点が追加された。更に、我が方から、本パラの趣旨に関連する内容として、SBSTAが締約国に対しGCOSとGEOSSの活動の緊密な連携の促進に留意することを奨励する内容を追加することを提案し、受け入れられた。

(4)第4回(11月10日、15:00〜)

モーリシャス共同議長の下、第3回協議の結果を反映したテキストを元にパラグラフ毎に議論が行われた。いくつかのエディトリアルな修正の他、以下の議論があった。

パラ1(報告ガイドラインの改訂)については、改訂の目的をすべて羅列する必要はないとのEUの指摘に基づき、一部が削除された。

パラ4(各国の気象機関の協力の必要性)については、共同議長からの提案で一旦分離されたものの、本パラの提案国の豪から特に地域アクション・プランの実施における観点が提案趣旨であり、パラ3(地域アクション・プラン)と一つのパラグラフに戻すべきと提案された。

パラ6(衛星観測)については、提出された報告書の内容を記述するにすぎない第3センテンスは不要であるという我が方の意見が、豪、加等から支持され、削除されることとなった。また、AOSISが強く記述を主張した衛星観測に対する関心国のアクセスについては、EUからこれまでのSBSTA結論等にて既にカバーされている内容であることを理由として削除を希望する発言もあったが、オーストラリア、カナダからは本内容を結論案に含めることについて一定の理解が示された。更に、そもそも本内容はSBSTAがGCOSやCEOSに対して直接指示できない内容であり、対象はPartiesであるべきとの米国の指摘に基づき、気候に関する衛星観測について観測実施国が関心のある全ての締約国のアクセスを改善することが奨励されることとなった。

パラ7(衛星観測に関する報告項目)については、我が方から報告ガイドライン改定案との整合性の観点から、本結論案にて衛星観測に対する報告項目を特に記述する趣旨に疑問を呈したところ、オーストラリア、米国から支持があり、本パラは削除されることとなった。

パラ8(観測の統合と調整の重要性)については、カナダ、米国から観測の統合(integration of earth observation)は、SBSTA及びGEO等でもなじみがなく、意味が不明であるとの指摘があり、integrationを削除し、既存のSBSTAの結論に含まれたintegrated global analysis productsやGEOSSを形容する際に一般的に使用されるcomprehensive, sustained, coordinated observationへの言い換えが提案された。一方、スイスからは日本案を支持する表明があった。我が方から、現場観測と衛星観測の統合等、統合は調整(coordination)とは別の意味を含んでいること、本パラは一般的に観測の統合の重要性を指摘しており、GEOSSのみを指す用語は不適切であること等を指摘した。結果、Integrationの取扱については、各国が持ち帰り検討することとなった。GCOSとGEOSSの連携促進に関する第2センテンスついては、我が方から、両者の連携に加えて、両者の活動の促進も追加することを提案し、支持された。また、GCOS及びGEOSSの活動のステータスについては、各国で捉え方が異なるため(例えば、我が方から提案したGEOSSの構築(establishment)については、GEOSSは完全でないがすでに構築の取り組みは始まっており、GEOSSは存在するものであるから、establishmentは不適切であるという見解が米より示された。)、activities related to GCOS and GEOSSという文言で決着を見た。

(5)最終回(11月11日、11:30〜)

第4回非公式協議の結果及び事務局による多少の修正を含めた結論案(参考5)が提示され、ドイツ共同議長の議事進行の下、議論を行った。

パラ2(2008年の報告において改訂報告ガイドラインの利用を奨励)については、共同議長から、報告ガイドラインの改定案の採択がCOP13(2007年)に予定されていることに鑑み、本パラは現在意味をなさず、次回以降に延期すべきことがSBSTA議長から提言された旨の報告がなされ、本パラは削除されることとなった。

旧パラ4(各国の気象機関の協力)については、豪の提案趣旨を反映し、地域アクション・プランの実施にも言及した上で、旧パラ3(地域アクション・プラン)と分離されることとなった。

旧パラ8(観測の統合と調整の重要性)については、Integration of observationが論点となっていたが、本文言の内容を明確化する趣旨でin order to allow for integrated global analysis productsが事務局より追加された。昨日疑問を呈した米、カナダから、一般的にintegration of observationは受入れ可能である旨表明された。但し、観測の統合と調整を促進する目的を何と設定すべきかについては、全体で再度活発な議論が行われた。最終的には、気候変動モニタリングのための統合的全球解析プロダクツと気候変動予測の検証が、観測の統合と調整の目的の「例示」として記述されることとなった。第1センテンスの後段部分については、前段部分全体を受けて科学的見地を前進するものとして、独立の第2センテンスとして記述されることとなった。また、GCOSとGEOSSの活動については、別のパラグラフとなることとなった。
  結果、その他のエディトリアルな修正の後、別添1を内容とする結論案に合意した。概要以下のとおり。

  • SBSTAは、GCOS事務局による全球気候変動観測に関する条約報告ガイドラインの改定案を評価。本ガイドライン案及びその専門家レビューの有効性に留意し、COP13での採択に向けて、SBSTA27において、改定ガイドライン案を審議することに合意。
  • SBSTAは、GCOS事務局による地域ワークショッププログラム成果報告書を評価。本プログラムの下で策定された地域アクション・プランを今後の地域における活動の基礎として歓迎
  • SBSTAは、維持された観測インフラを提供する現場観測ネットワーク及び活動の重要性を再度強調し、上記地域アクション・プランの実施等において、各国の気象機関の協力を奨励
  • SBSTAは、2006年4月にエチオピア、アジス・アベバでGCOS事務局により開催されたフォローアップアフリカ実施戦略会合に関する情報に留意。締約国に対し、会合の成果である”Climate for Development in Africa” プログラムの実施を奨励するとともに、同様の活動及び研究を必要に応じて他の地域に展開していくことを強く奨励。
  • SBSTAは、CEOSによるGCOS実施計画のニーズに対する宇宙機関間の調整された対応に関する報告書を歓迎。SBSTAは、締約国に対し、各自の宇宙機関がCEOS報告書の活動を実施し、CEOSを通じて調和的対応を継続するよう招請。SBSTAは、GCOSとCEOSの継続的パートナーシップを奨励。また締約国に対し、関心国による衛星気候観測へのアクセスの改善を奨励。
  • SBSTAは、気候変動モニタリングのための統合的全球解析プロダクツの作成、及び気候変動予測を改善する気候モデルのインプットと検証の提供等のために、地球観測の更なる統合及び調整の重要性を再確認。これらは、適応策等の締約国の気候変動対策のための科学的知見を前進。
  • SBSTAは、締約国に対し、GCOS及びGEOSSに関連する国内活動の促進を奨励し、これらの活動間の緊密な関係に留意。

4-7.SBSTA全体会合(11月14日)

非公式協議のモーリシャス共同議長からSBSTA結論案(FCCC/SBSTA/2006/L.22)の概要が報告され、特段の異論なく承認された。

5.所感

今回は、国連開発計画(UNEP)をはじめ多数の国連機関がある、ケニア・ナイロビの国連施設で会議が行なわれた。会議全体の日本政府の公式の評価は公電により2.にまとめてあるが、昨年カナダ・モントリオールで開かれた、COP11及びCOP/MOP1で、ようやくポスト京都に関する審議を始めることだけはできたところであったが、今回は、京都議定書の見直しの審議などを通して、我が国の立場である、実効ある将来枠組の構築に向けた議論に具体的な道筋をつけるところまできたわけで、今後の進展が注目される。

研究と組織的観測の審議は、春のボンでの会議では研究を、年末の会議では組織的観測を主題として、このところ行なってきている。今回は後者の場合であったが、最初に提示された結論案では、単にこの間の観測に関する活動とその進展を記述するのが主であって、政策決定者に対するメッセージが感じられなかった。気候の観測成果はすぐ目立つとは限らず、地道な積み重ねを継続しなければならない性質から、観測の重要性は絶えず再確認しておかなければ、予算担当者には重要課題になりにくい。そこで、追加パラグラフの提案を日本側から行なった。  原則的には追加パラの趣旨は支持されたが、観測の統合化(Integration of global observation)の重要性を指摘することに関し、カナダあたりから、その言葉遣いになじみがないということで、一時合意が得られなかった。そこで調べたら、GEOSS10年計画にも引用されており、その点を指摘しようと思っていたが、翌日本国の関係者に照合して全く問題がないとわかりましたと率直に訂正があり、その後は順調に審議が進み、追加パラは2つのパラに発展した。

観測の議論を通して、既存の枠組みである、GECOSは、その活動の重要性や、GEOSS推進の上で重要な連携パートナーであることが、会議を通して再認識された。GECOSの事務局からは、大きな実質的貢献をしており、また以前は存在していた、日本からのGECOS National Coordinatorを指名して欲しいとの要望があり、文科省としては、気象庁に対応をお願いしたいという意向なので、帰国後気象庁に検討を依頼した。

 

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