気候変動枠組み条約(UNFCCC)第11回締約国会議(COP11)、
科学上及び技術上の助言に関する補助機関第23回会合(SBSTA)及び、
京都議定書締約国第1回会合(COP/MOP1)出席報告

 
2005年12月
 
1.はじめに
 気候変動枠組み条約第11回締約国会議(COP11=11th Conference of Parties to the UN Framework Convention on Climate Change)、及びその分科会である、補助機関(SBs=Subsidiary Bodies)のうちの科学上及び技術上に関する補助機関第23回会合(SBSTA23=23rd Session of the Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice)、さらに本年2月16日に京都議定書が発効したことによる、第1回締約国会合(COP/MOP1=1st Meeting of the Parties serving as the Conference of Parties to the Kyoto Protocol)は、カナダ、モントリオール市の国際会議場で、平成17年(2005年)11月28日〜12月9日に開催された。

 参加者数はCOPとしては過去最大であり、181締約国、2オブザーバー国、23の国連関連国際機関、35の政府間機関、365の非政府機関(NGO)から5848人の他、287の報道機関から817名の合計9474人の参加があった。

 日本からは政府代表団として、小池環境大臣、山中外務政務官、西村地球環境大使をはじめ、外務省、文部科学省とその関連機関、農林水産省(林野庁を含む)、経済産業省、環境省、国土交通省(気象研究所を含む)、環境省および国立環境研究所などその関連機関などのほか、国会議員や、国内NGO等の関係者が多数参加した。文部科学省からは、海洋地球課地球・環境科学技術推進室の栗山調査員とともに、同省参与として独)海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターの近藤特任研究員(本報告者)が、COP11、SBSTA23、COP/MOP1それぞれの全体会合(Plenary)に参加し、またSBSTA23の議題9(「研究と組織的観測」に関するコンタクトグループ及びインフォーマルグループの審議に加わった。小生はさらに、世界銀行主催のサイドイベントにも参加しパネラーとしてプレゼンテーションと討論を行った。文部科学省は、展示会場の日本ブースの中で、共生プロジェクトを主とした日本における地球温暖化研究を紹介した。その運営を独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球環境フロンティア研究センター(FRCGC)の秋庭研究推進スタッフが、また、会場での説明を、気象庁(JMA)気象研究所(MRI)の吉村主任研究官及び、財団法人電力中央研究所(CRIEPI)の西村上席スタッフが担当した。
 以下、SBSTAの議題9「研究と組織的観測」及び世界銀行サイドイベントについては詳細を、その他(関連展示を含む)については概略を報告する(以下年号は西暦表記)。

 
2.COP11&COP/MOP1の主要な成果と意義
 COP11&COP/MOP1の主要な成果と意義は以下のようにまとめられる:

京都議定書(KP)が発効して初めての会合であるCOP/MOP1が開催された。

KPを実施するために必要な方策・手続きなど運用ルールに関し、KPが発効した場合に正式に採択すべく、非常な努力の末に、第7回締約国会議(COP7、マラケシュ、2001年11月)において採択された、マラケシュ合意文書の決議案それぞれを、COP/MOPとして正式に採択し、KPの実施の体制(運用ルール)を確立した。

KPの実施期間が2008〜2012年に限定されており、KPの第3条9項に明記された、2013年以降に対する対応策検討に関し、先進国の更なる削減約束に関する検討の開始、とできるだけ早く結論を出すことで合意された。

当初2007年11月開催を予定していた COP13の開催時期を4週間遅らせることにより、2007年秋に発表予定のIPCCの統合報告書の内容がCOP13の前に政策作決定者に伝わる時間的余裕を確保するという、IPCCの要請に基づき、実施に関する補助機関第22回会合(SBI22、2005年5月)がCOP11に対し行った決議勧告に従い、決議した。
 
3.開会及び会議進行
 11月28日朝10時から、今回の会合が京都議定書発効後はじめてであることを記念して、モントリオール市長及びケベック州知事よりの挨拶、文化イベントを内容とする歓迎セレモニーが開催された後、第10回締約国会議(COP10、アルゼンチン・ブエノスアイレス)の議長であったガルシア(Ginsé Gonzáles García)氏により開会が宣言された。本年10月に逝去したウォラハンター(Joke Waller-Hunter)UNFCCC故事務局長に対し、1分間の黙祷が捧げられた。ガルシア前議長からは、本会合で大きな成果を上げることが故事務局長への弔意になること、気候変動問題への対応について、科学的不確実性の削減、経済発展との共存、緩和・適応の取組の重要性、各国の取組・関心とCDM等の取組の連携の重要性等について挨拶があった。

 COP11及びCOP/MOP1の議長には、開催国カナダのディオン(Stéphane Dion)環境大臣が選出された。就任挨拶の中で、同議長は、本会合の目標として3つのI(Implementation、Improvement、Innovation)を掲げた:

実施(Implementation)は、京都議定書の基礎であるマラケシュ合意を採択し、実行に移すことである。

改善(Improvement)は、CDMを含む京都議定書の実施を改善することである。適応、技術移転の問題は、途上国の持続可能な発展の観点から重要であり、適応に関する5カ年実施計画、最善の技術の移転を推進すべきである。

改革(Innovation)は、将来の気候変動の安定化にむけて、3条9の次期コミットメントの検討について合意し、また今後の協力のオプションの検討において発展的になることである。

 事務局からは、条約批准国が189カ国、議定書批准国が157カ国であることが報告された。また、国名のプレートを区別(議定書の批准国は黒字に白、議定書未批准国は白地に黒)して会議を進めることも報告された。

 
4.COP11、SBSTA23、COP/MOP1の概要*
 (*日本政府代表団報告に基づく。SBI23〈実施に関する補助機関第23回会合〉も含む)
4-1.京都議定書の運用ルールの確立と改善
(1)マラケシュ合意を採択
 11月30日の京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)で、京都議定書の実施に関する「マラケシュ合意」を含む21件の決定草案が決定された。これらの決定には森林等の吸収源に関する算定ルール、京都メカニズム(共同実施(JI)、クリーン開発メカニズム(CDM)、排出量取引(ET))に関するルール、京都議定書に基づく排出吸収量の推計、審査等に関するルールなどが含まれている。
(注)2001年にマラケシュ(モロッコ)で開催されたCOP7において合意された決定。京都議定書に定められた諸制度(排出量取引制度等)を実施するために必要な運用ルールを定めている。

(2)遵守ルールの採択
  マラケシュ合意のうち、京都議定書の数値目標に関する不遵守の措置(注)に関する手続きや遵守委員会に関する事項等が法的拘束力を持たない形で、COP/MOPで決定された。
((注)不遵守の措置:排出超過分の1.3倍の次期約束期間の割当量からの差引、次期約束期間における遵守確保のための行動計画の策定、排出量取引による移転の禁止)

(3)各種委員会(遵守委員会・第6条監督委員会)の設置と委員の選出
 遵守(Compliance)委員会(促進部・執行部)が設立され、わが国から、浜中裕徳・慶応大学教授促進部の常任委員として選出された。
  共同実施(JI)に関する第6条監督委員会が設立され、わが国から、工藤拓毅・日本エネルギー経済研究所環境グループマネージャー委員代理として選出された。
 また、既存の技術移転に関する専門家グループ(EGTT)では、平石尹彦・IGES理事が委員として再選された。

(4)CDM改革
 CDMの更なる推進・改善に向けて、[1]省エネ促進に向けた我が国主導の「CDMの将来」イニシャティブの推進、小規模CDMの定義の見直し、炭素隔離・貯留のCDMなどの指針や手続きなどの重要な方策について合意されるとともに、[2]審査の迅速化などをねらいとするCDM理事会・事務局の強化策が決定された。

(5)評価
 以上により、京都議定書は遵守ルールを含め、全てのルールが確立し、完全に実施基盤が整備された。また、日本をはじめ関心国、関係者の関心の高いCDMの具体的改善策が採択され、CDM実施の加速化が図られることとなった。

4-2.将来の行動にかかる対話プロセスの開始等
(1)全ての国の参加による「気候変動に対応するための長期的協力のための行動に関する対話」の開始(COP決定)
 議長国カナダのイニシャティブと各国の協力により、「長期的協力に関する対話」(モントリオール・アクションプラン)が成立した。具体的には、

[1]
京都議定書未批准国の米国や削減義務のない途上国も含めた全ての国の参加の下、
[2]
将来の対話を行う場が設定され、
[3]
経験の交換、戦略的アプローチの開発及び分析のための対話を、
[4]
COPの指揮の下で先進国1名、途上国1名の共同議長による最大4回のワークショップの開催を行うこと、
[5]
対話の結果のCOP12(2006)、COP13(2007)への報告、
[6]
2006年4月15日までに各国の考えを提出して対話を開始すること
など具体的作業手順とプロセスが合意された。なお、この対話は将来の交渉、約束、プロセス、枠組み、マンデートなどの予断を持たずに開催されることとされている。

(2)京都議定書3条9に基づく検討の開始(COP/MOP決定)
  京都議定書3条9に基づき、

1. その規定に則して附属書㈵国(議定書先進国及び市場経済移行国)の更なる削減約束に関する検討の開始(2006年5月のSB(補助機関会合)と並行して開催される第一回の作業部会において議論を開始)、
2. 第一約束期間と第二約束期間の空白を生じないようなタイミングで出来るだけ速やかに結論を目指すこと
などが合意された。

(3)議定書9条に基づく議定書レビューの準備手続き(COP/MOP議長とりまとめ)
 気候変動枠組条約の見直しと連動した京都議定書の見直しをCOP/MOP2で行うことを定め、議定書第9条に基づく作業の準備を開始(各国は、関連の情報と意見を2006年9月1日までに提出)。

 今後、(1)による条約プロセスと(2)、(3)による京都議定書プロセスが同時並行で開始される。特に、(1)の対話プロセスは、米国を含む全ての国の参加の下で、対話の具体的テーマ、手順が定められ、COPに2年間にわたり報告されることとなっている。これらの合意は、日本の基本方針である「全ての国が参加する実効ある枠組みの構築」にむけての重要な第一歩と考えられる。

4-3.適応(注)に関する5ヵ年作業計画
(1) 昨年のCOP10において採択された「適応策*と対応措置に関するブエノスアイレス作業計画」に基づき、適応に関する5カ年作業計画が策定された。これにより、適応策に係る目的・作業範囲、作業方法などの具体的な取組が合意された。5ヵ年の各年に行う詳細な作業については、次回SBSTA24(第24回補助機関会合)前に非公式ワークショップを開催して議論を継続することになった。
(2)これにより、今後、途上国を中心に重要な課題となる適応策について作業計画の基本設計が確立された。
*:(注)適応策とは、気候変動の悪影響(例:洪水、干ばつ等)に対応するための措置のことをいう。

 
5.研究と組織的観測(SBSTA23議題9)に関わる議事
5-1.概要
 今回は、全球気候観測システム(GCOS)実施計画の実施促進に向けて今後の方向性・活動を検討することを中心に、組織的観測についてのみ審議がなされた。その結果、組織的観測に関する報告ガイドラインの改訂に合意し、GCOS実施計画の更なる推進と各国・地域・機関による活動の歓迎実施の進捗に関する包括的報告書の作成、GEOとGCOSの実施計画の調整海洋気候観測の強化データ交換の改善観測能力開発の必要性等を確認する結論が採択された。
 なお、SBSTA23結論と併せて、SBSTA22で勧告された「条約に関する研究ニーズ」に関する決定案が研究に関する初めての決定としてCOP11において採択された。

5-2.SBSTA全体会合(11月29日)
 冒頭事務局より、本会合における審議内容及4つの関係文書(GCOS、全球地上観測システム(GTOS)及び地球観測衛星委員会(CEOS)より提出の各報告書、各国提出見解)につき、概要説明があった。続いて、報告書を提出した機関より報告があった。GCOS事務局よりは、実施計画書の実施状況、GCOS地域ワークショップの状況報告、海洋気候観測及びデータ交換問題の分析に関する報告書の概要と課題、以上に対するGCOSのSBSTAへの勧告、GCOSへの各国の支援要請等が述べられた。GTOS事務局よりは、地上観測の基準に関する枠組み策定の必要性とその取組みの現状、GEOSSへの支援と期待等が報告された。CEOSを代表してCEOS議長のアルゼンチンよりは、GCOS及びGEOSS実施計画のニーズへの対応、研究から定常観測への移行の必要性、必須データセットの作成におけるGCOSとCEOSの協力、今後の取組等について報告された。続いて、各国から意見表明があり、
主要なものは以下のとおり:

我が方: GEOSS10年実施計画の承認等の地球観測に関する国際協力の進展に鑑み、GCOS実施計画の実施推進について今次会合で検討することは重要。GCOS事務局の報告書の提出を歓迎。不十分なデータ共有やリソース不足といったGCOS実施計画の課題の対応において、政府間の地球観測調整組織としてのGEOや9つの社会利益分野への貢献を目指すGEOSSが、重複排除や他の分野の観測システムの共有化といった観点から有用であり、GCOSとGEOSSの実施計画の調整された実施が重要。GEO作業計画にGCOS実施計画を反映すべき。気候変動対応にはデータ交換・共有が重要であり、そのために必要な必須気候データの基準・調整枠組みを検討する取り組みを支持。また、途上国の観測データ利用促進のため、気候変動の影響評価・モニタリングが重要。CEOSの報告書を歓迎し、CEOSを通じた実施計画促進を継続。組織的観測と共に研究も重要であり、COP決議を支持。GEOSS及びGCOS計画の調整された実施により、GEOSS、特に気候全球観測システムを着実に構築していくべき。(別紙2参照)

EU(英国): 各種報告書の提出を多とする。観測ネットワークの改善を強化すべきであり、欧州各国では気候観測に関する多様な取り組みを実施中。全欧州レベルでは、能力開発を含む欧州宇宙機関による地球観測包括プログラムを実施中。データ収集問題へ対応、GEOSSへの貢献としてGMESを開発中。地域活動計画の進展、資金、南半球の観測の向上、データ交換の促進等の課題がある。先進国は途上国の国際プログラムへの参加を支援すべき。GCOSのガイドライン改訂、GTOSの地上観測に関する枠組み策定、CEOSの詳細報告等の取り組みを支持。

米国: GCOS事務局の報告書作成を多とする。今まさに計画を実施する段階であり、全ての締約国に対し実施計画の優先課題を実施することを奨励。米国は、途上国支援を含め、国内外で実施計画を推進中である。他の二つの報告書に含まれた課題は以前から存在する問題。データ交換と共にタイムリー、正確かつ持続的な観測が重要。海洋観測は、多くが研究予算によることが持続的な資金確保の観点から問題。GTOSの枠組み策定の進展に期待。GEOが気候を含む9つの社会利益分野を目標とする2006年作業計画をGCOS等と協力して策定することに鑑み、シナジーのある実施を最大化するために両者の連携の継続が必須である。CEOS報告書のGCOS実施計画に対する宇宙機関の調整された対応を支持。なお、米国は、13の連邦政府機関による気候変動科学プログラムを実施中である。

カナダ:報告書を支持。GCOSとGEOSSの連携、データ交換の促進、全球気候変動観測システムの報告ガイドラインの見直し、GCOS実施計画の包括的報告書とそれに向けた各国情報の提出を支持する。加は、特に沿岸環境監視の観点から、GOESS構築を含む、観測システムの向上に対し予算をコミットしている。各国・機関との幅広い議論を期待。

その他:韓国からは特に自国の観測に関する取組みの紹介があり、中国からは途上国の観測システム・データ交換、地域的観測能力増進の重要性が述べられた。ウガンダは、途上国、特にアフリカ地域におけるデータアクセスの問題についてGCOSに対応を要請し、パナマは中米における情報共有の機会について述べた。他、バングラディシュが報告書の支持を表明。

 SBSTA議長より、提出された報告書及び各国見解、本全体会合における各国の意見表明及び機関からの報告を踏まえ、既に合意の基礎が形成されていることが述べられ、まずコンタクトグループの共同議長として指名されたロズナー(Stefan Rösner、独)及びガワゲ(Philip M. Gwage、ウガンダ)間でSBSTA結論案を作成し、それを基にコンタクトグループにて検討を行い、12月3日を目処に結論案をまとめるよう指示があった。

5-3.コンタクトグループ[1](12月1日)
 共同議長がとりまとめた議論のポイントが提示され、ロズナー共同議長の議事の下、項目毎に見解を述べることとなった。このポイントの内容については、GCOS等の各報告書提出の歓迎、地上気候観測の基準に関する枠組み策定、GCOS実施計画の進捗に関する包括報告書作成の要請、CEOSよりの詳細報告書の提出の歓迎、全球気候変動観測システムに関する報告ガイドラインの改訂と改定案の検討、海洋気候観測の重要性、データ交換の重要性と国際的データセンターの支援、GCOSの地域ワークショッププログラム、能力開発等。なお、ロ共同議長より、今次会合において、研究はSBSTA22のCOP決定案の採択のみであるため、組織的観測の問題についてのみ議論を行うことが述べられた。


議論の概要以下のとおり:

  • 各種報告書の提出期限について多少の意見交換があったが、いずれも共同議長がGCOS事務局と協議することとされた。


  • 報告ガイドラインの改訂のプロセスについて米より質問があり、ロ共同議長より、報告様式についてGCOSが提案し、各国意見の提出、SBSTAでの検討、COPにおける採択(COP13目標)という流れが説明された。


  • 海洋気候観測については、豪より定常的な観測を強調すべきとの指摘があった。


  • データ交換の重要性に鑑み、この点に強調を求める発言がいくつかあった。


  • 能力開発の必要性について、まず、中国よりデータ共有と途上国におけるインフラ整備の重要性について、ボツアナより特にアフリカにおける観測手段の復旧とGCOSの強化について発言があり、これにスーダン、マリ、カメルーン、ナミビア、南ア、チリ等の途上国がそれぞれ支持を表明した。米からは自国の能力開発プログラムの紹介があった。また、加よりはグレンイーグルスG8サミットにおけるGCOS、アフリカの能力開発等への言及が指摘された。EU(英)は能力開発を含むGCOS実施計画が実施フェーズにあることを強調すべきと述べた。

  •  我が方・米より、ポイントの内容に地球観測に関する政府間会合(GEO)との関係が抜けている旨指摘した。特に、我が方からは、GEOSSとGCOSの実施計画をよく調整して実施すること及びGEOの作業計画にGCOS実施計画を反映することの2点の追加を提案した。

    以上の意見交換を踏まえ、コンタクトグループ共同議長がSBSTA結論案を作成し、インフォーマルグループにて文言を詰めることとなった。

    5-4.インフォーマルグループ(12 月2日)
    第1回コンタクトグループ会合での意見交換に基づき、SBSTA結論案がコンタクトグループ共同議長から示され、2回の会合を通じて、パラグラフ毎に審議がなされた。なお、提示された結論案は、コンタクトグループにおける議論のポイントに我が方指摘のGEOとの実施計画の調整が加わった内容となった。

    主たる審議の概要以下のとおり:

  • EU(英国)の提案に基づき、実施フェーズであることを強調して、締約国のGCOS実施計画の実施を要請するパラグラフが追加された。


  • GTOS事務局と協議した上で、我が方より、地上の観測基準の枠組み策定に関し、GTOS事務局による地上の各気候必須変数(ECV)の基準について現状評価を追加することを提案し、各国より支持された。


  • 我が方の提案によりGEOの活動の歓迎が追加された。


  • 全球気候変動観測システムに関する条約の報告ガイドラインの改訂について、米、豪、加等により積極的な意見交換がなされ、SBSTAにおける検討次期が早まると共に、改訂の範囲に補足情報の報告様式も含まれることとなった。


  • 海洋観測について、米の提案に基づき、定常的観測の支援維持、データ収集・保存の必要性が追加された。


  • データ交換の問題について、EU(英)提案により、各締約国が可能な対策措置をとることが要請された。


  • GCOSの地域ワークショップの報告時期が早まると共に、能力開発については、GEO、GCOS、地域的取組みを通じた実施が強調された。


  • EU・米の提案により、GCOS、海洋観測の国内窓口の指定が要請された。
  • カナダより海洋気候観測の国内窓口の指定については、GCOSの窓口に含まれるとして削除の提案があり、米がこれに留保したが、当該部分以外は上記の審議を踏まえた結論案がまとまった。なお、途上国(G77&China)の参加はなかった。

    5-5.コンタクトグループ[5](12月3日)
      冒頭ガワゲ共同議長より、結論案については前日のインフォーマルグループで長時間かけてまとめたものであり、これをコンタクトグループとしてこのまま合意することを強く奨励する。但し、インフォーマルグループに参加していなかったG77にのみ、新規事項に限って発言の機会を与える旨、述べられた。これを受け、マリよりG77&Chinaを代表して、GCOSとGEOの実施計画の調整に関するパラグラフについて、

  • 付属書I国が開発途上国の実施活動への参加を促進する

  • という追加提案がなされ、各国から合意された。なお、国内窓口の問題については米国が削除を受け入れ、結論案に合意をみた。

    5-6.SBSTA全体会合(12月6日)
     コンタクトグループのロズナー共同議長からSBSTA結論案(FCCC/SBSTA/2005/L.17)が報告された後、SBSTA議長より、CEOS報告書の文書番号が提出手続きの関係で正しくはFCCC/SBSTA/2005/MISC.17/Rev.1となることに伴う改訂が提案され、改訂案が特段の異論なく採択された。

    5-7.COP11全体会合(12月8日)
     SBSTA22でCOP11での採択が勧告された「条約に関する研究ニーズ」に関する決定案(FCCC/SBSTA/2005/Add.1,Page31)、及びSBSTA23の結論案(改訂FCCC/SBSTA/2005/L.17)が特段の異論なく採択された。

    6.関連サイドイベント(いずれも11月29日13:00〜15:00)
    6-1 地球観測に関する政府間会合(GEO)によるサイドイベント
     共同議長国(米、EC、南ア、中)の共催で、GEOイニシャティブに関する各国の取組の報告を目的としたサイドイベントが開催された。米よりGEO及びGEOSSの概要及び米国の取組、南アよりヨハネスブルグサミットの観点からの自国の取組、我が方(栗山調査員)よりGEOSS及びUNFCCCに貢献する日本の政策と取組、ECより欧州環境研究プログラムを中心とした自国の取組、加より自国の国土管理等の観点からの取組についてそれぞれ報告があり、質疑応答がなされた。場外で、我が方より紹介した温暖化ガス観測衛星(GOSAT)について関心が寄せられた。

    6-2 世界銀行によるサイドイベント

     11月29日午後1〜3時に、サイドイベント:「気候変動への適応:ラテン・アメリカにおいて得られた教訓、進展中の研究及び展望」が世界銀行により、開催された。世界銀行の、ラテン・アメリカ及びカリブ海の開発担当のベルガラ (Walter Vergara) が司会し、カリブ海地域気候変動研究センターのレスリー(Kenrick Leslie)、コロンビア気象・水文・環境研究所のコスタス(Carlos Costas)、ペルー国立環境委員会のガルシア(Julio Garcia)、世界銀行のバルデビア(Corinne Valdevia)およびスパーリング(Frank Sperling)のほか、我が国から近藤がパネラーとして参加した。
     まず、近藤からは、文部科学省による、地球シミュレータを活用した「人・自然・地球共生プロジェクト」の概況を述べた上で、特に20kmの超高解像度の全球気候モデルによる、地域的にも詳細な、現在気候再現及び将来予測の紹介と、台風やハリケーンなど、世界の各地におけるモデル結果解析例を示した。そして、昨年のCOP10における文部科学省のサイドイベントが契機となり、カリブ海やコロンビアにおける沿岸地帯、小島嶼国、高山生態系および保健など、適応研究に関して、世界銀行ファンドのもとで、研究者4人を招聘して、モデル結果のデータを提供し、数値解析の手法の習熟をはかり、その研究成果が出始めていることを発表した。
     各パネラーからは適応に関するそれぞれの活動報告や今後の展望が述べられた。特に、カリブ海およびコロンビアのパネラーからは、現在気候の再現が十分信頼性のあるものが出ており、それに基づいて、将来気候の予測の結果が適応研究に活かされつつあることが報告され、日本のデータ提供や、研究援助・協力に対し感謝の意が表せられた。会場からの質疑応答も活発に行われ、近藤からは、全球モデルの結果は膨大で、日本周辺から遠く隔たった地域でのモデル結果解析は、今後の更なるモデル高度化に有益であって、協力が相互に有意義であることを強調した。
    世界銀行のサイドイベント風景 壇上左から二番目が近藤JAMSTEC/FRCGC特任研究員
     
    7.展示
      会期中、「気候変動問題の対応に貢献する日本の研究及び観測」というテーマの下、文部科学省主催による展示を行った。前半は共生プロジェクトを中心とした日本の気候変動研究の成果について、特に、気候変化予測に関する4課題グループの成果をパンフレットにまとめて展示訪問者に配布・説明を行なった。後半は南極観測の気候変動研究への寄与について紹介を行った。各国会議参加者の他、中山外務政務官等にも展示をご覧いただいた。前半は特に今次会合のメインテーマである適応研究との関連を強調した内容であったこと、また会期中に加のイニシャティブで「南極の日」が開催されたことから、両者とも展示のテーマとして妥当であったと思われる。

    文部科学省主催による展示ブースにて共生プロジェクトの成果を説明する吉村JMA/MRI主任研究官と訪問者
    左から、秋庭JAMSTEC/FRCGC研究推進スタッフ、西村CREIPI上席スタッフ及びオーバーシュートシナリオに関心を示すカナダのNGOスタッフ

    8.所感

     今回は、京都議定書が発効して最初の締約国会合であったことから、COPとの関係で全体の会議がどのように運営されるか気になっていたが、比較的円滑に運営は進んだ。また、個々の議事では、産油国など、国益を背景にこだわりが生じて結論が出ず、深夜まで審議しても結局次回にそのまま送られる議事もあったが、ポスト京都を巡る議論で、最終日は徹夜審議となりながらも、UNFCCの見直しとポスト京都の議論とが同時平行的に進められる形で全ての国の参加による対話に向けての進展がみられた点は意義があったと思われる。


     SBSTA議題9「研究と組織的観測」では、前回、研究に関する決議案(今回COPで採択)を出したこともあり、今回は観測についてのみの審議であった。既存の全球気候観測システム(GCOS)の実施計画において、今年から正式に設立された、地球観測に関する政府間会合(GEO)による、全地球観測システム(GEOSS)の十年実施計画との関連について明記することは、当初コンタクトグループ共同議長の案には入っていなかったので指摘したところ、米国なども同様の見解があり、特に問題なく受け入れられた。GCOSの日本の国内での窓口は、かつては気象庁と文部科学省で交互に対応していたが、近年不明確になっていることから、GCOSの来年1月から事務局長となるジルマン(Jone Zilman)の補佐役予定者より、明示して欲しいとの要望を受けた。文部科学省、気象庁に早急な対応を要請する。
     展示では、共生の成果を前半の1週間行なったが、パンフレットも好評で、京都をイメージした背景などの工夫もあり、京都議定書発効後の最初の締約国会合であったこともあり、また、共生の研究者に説明役をお願いして、共生の成果をスクリーン上にビデオで紹介しながら解説したこともあり、かなりの関心を集めた。ハドレーセンターなど、展示も、サイドイベントも従来から継続して成果を発信している例もあり、日本からもこのような展示やサイドイベントのフォローアップが今後とも望ましいと思われる。

    文部科学省主催の共生プロジェクト紹介展示ブース
     世界銀行のサイドイベントでは、途上国における適応研究に研究成果のデータを提供するだけでなく研究に協力したことが真摯に感謝されている。 他のカリブ海域のグループによるサイドイベントに傍聴に行ったところ、そこでも日本に対する感謝が述べられていた。COPでは、適応が大きなテーマであり、それに対する、予測研究の連携の重要性が指摘されている中で、同時に途上国に対し、技術移転やキャパシティビルディングにもつながる意味合いも含めた貢献をしているのではないかということを実感した。

     

     
    以上

    (報告:地球環境フロンティア研究センター 近藤 洋輝 特任研究員)

     

    ページトップ / 1つ前にもどる / HOME