気候変動に関する国連枠組み条約(UNFCCC)
補助機関第20回会合(SBSTA20) 報告

〜科学・技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)関連部分〜

2004年6月

1.はじめに
上記会合が、2004年6月16日〜25日に、ドイツ・ボンで開催された。国連気候変動枠組み条約(UNFCCC、1992年採択、1994年発効)のもとでは、その補助機関として、科学・技術上の助言機関(SBSTA)と、実施のための補助機関(SBI)が設置されており、両補助機関は、UNFCC発効後、UNFCC締約国会議(COP 、1995年以来毎年末開催)の会期中および、COPの会議の中間時期に開かれている。今回は後者の場合である。SBは、多くの議題を巡って、冒頭部分と、最終部分に開かれる本会議のほかは、各議題に関する分科会としての小グループの会合が多数行なわれた。また、関連した会合(サイド・イベント)も開かれた。ここでは、SBSTAの会合部分のうち、6月21日から25日まで、実際に参加して討論に加わったIPCC/WG1に関係の深い会合部分と、サイド・イベントに日本からの報告として講演したものについてまとめる。

2.サイド・イベント「IPCC第3次評価報告書に対応した研究」
 この会合は、COP第9回会合(COP9、ミラノ、2003年12月1-9日)での議論に基づいて、企画され、6月21日に開催された。その議事次第は:
(1)  開会
(2)  IPCC:第3次評価報告書からの主要な研究勧告
(3)  各国政府の下での、国内プログラムによる研究イニシャティブ
 (3)-1 欧州共同体
 (3)-2 日本
 (3)-3 中国
 (3)-4 米国
(4)  国際的なプログラム・組織による活動
 (4)-1 世界気候研究計画(WCRP)
 (4)-2 地球環境変動の人間社会側面研究計画(IHDP)
 (4)-3 国連大学環境・人類安全研究所(UNU-EHS)
 (4)-4 国連環境計画(UNEP)
(5)  総合討論
(6)  閉会
からなっていた。
 SBSTAの議題7が、IPCC第3次報告書(TAR)の活用として、COP9に基づき、第2、第3作業部会に関連した、「影響・脆弱性・適応および緩和に関する科学・技術的、社会・経済的側面」に焦点をあわせていることもあり、(2)では、第2、第3作業部会からの勧告の解説がなされ、第1作業部会のものは触れられなかった。
(3) においては、各国の状況がそれぞれ紹介されたが、日本からのものについては、私から、世界最速の地球シミュレータを活用して現在先端的に進められている研究活動と、その背景としての、総合科学技術会議による地球温暖化イニシャティブの活動について、「日本における気候変化予測研究とその背景としての政策- 地球シミュレータの研究への活用-」として講演した。まず(2)で欠けていた、TARにおける第1作業部会からの勧告について簡単に紹介した後、それらに対して、共生プロジェクトにより、どのように取り組んでいるか、また、活用している地球シミュレータの性能がどの程度かなどを示した。さらに、共生プロジェクトの各課題の内容を具体的に紹介し、特に、その時点で既に出つつあった成果の一例として、台風の眼や眼の壁雲なども再現可能な20kmの解像度を持つ全球大気モデルで現在気候の再現実験の一例を紹介し、丁度当日日本に上陸した台風(CNNで現地でも報道されていた)と同じようなコースをたどる台風の一生を示し、タイムスライスにより、温暖化時の熱帯低気圧の発生頻度、強度、経路などのふるまいを調べる可能性を示した。地球シミュレータの圧倒的な計算能力や、動画で示した再現結果について、かなりの反響が感じられた。また、地球温暖化イニシャティブの意義についても日本の科学技術政策を推進している総合科学技術会議にさかのぼって説明した。
 (4)では、既存の国際機関や国際研究計画の活動の状況が紹介された。IPCC第1作業部会に関連していたのは、(4)-1のWCRPの活動であったが、そのほかには、地球観測についての報告はなかった。
 (5)の総合討論では、私からは、IPCC第1作業部会の自然科学的研究と、第2第3作業部会の社会科学的研究との作業部会を超えた連携が今後特に重要であることを述べた。その他、ここでの討論は次のSBSTA議題6の小グループ会合に反映されている。

3.SBSTAの関連議題

(3)−1.議題6「研究及び組織的観測」
 ここでは、地球観測サミットによる、10年実施計画策定や、それに関連した、既存の全球気候観測システム(GCOS)の活動の意義など、地球観測体制の議論がなされ、また、上記のイベントを反映した議論がなされた。私は、サイド・イベントでの討論を想起し、自然科学と社会科学の相互連携が重要であることを明記すべき点を主張した。全体の詳細は省略するが、上記サイド・イベントに関連している、項目7は以下の通りである:
 * SBSTAは、前回の会合での要請に基づき、TARの勧告に対応した研究に関して今回(第20回会合)行なわれたイベントにおいて、各国政府の研究プログラムや国際的なプログラム・機関の代表の間でなされた意見交換を歓迎した。今後さらに考慮が求められるのは次の諸点である:
  (a) 気候変動枠組み条約の要請に対応した、研究活動およびその国際的な連携の適切さを評価する必要性
  (b) これまでのIPCCの評価報告に起因する研究の必要性に対応した、自然科学と同様な、社会科学の重要性、また両者の相互作用の重要性
  (c) WCRP、地球・生物圏研究計画(IGBP)、IHDP、及び生物多様性国際共同研究計画(DIVERSITAS)により組織されるような、全球気候変化研究の活動に貢献・参加するために、開発途上国の能力を強化すること。
 さらに、最後のまとめとして、項目8では、各国が、SBSTAの要請で開かれた上記イベントでの主要な課題、特に上記項目7で記述された事柄について、次回のSBSTA21回会合での討論にむけ、どのように適切に取り組むべきかについての見解を2004年9月15日までに事務局に提出することが求められた。
 
(3)−2 議題7「気候変動の影響・脆弱性・適応及び緩和に関する科学・技術的、社会・経済的側面」について
 これは基本的に、IPCCでの第1・第2作業部会に関係した議題である。ただ、自然災害防止を担当する専門家など、適切な専門家の分野の能力をとりわけ利用し、影響や脆弱性を評価し、適応策を発展させるために、地域気候モデルを含む、方法論や方式の応用に関する情報の文書を事務局が用意することが求められた。この点で、地域気候モデルが関与していることが明示されたことは注目すべきであると思われる。

(報告:地球環境フロンティア研究センター 近藤 洋輝特任研究員)
 

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